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更新日:2021年8月16日
「Mさん、死んじゃった」
仕事帰りの井の頭線。
白昼の車内で、大切な、尊敬する友人の訃報を聞いた。
ぷつんと何かが途切れ、何も考えられなかった。吐き気がした。
次の駅で降りて、ホームで知らせてくれた友人に電話をかける。
声が死を告げる。
「本当なんだ」
次第に現実に変わっていく。
たまに流れる駅のアナウンスが無性にうるさく感じて、スピーカーを叩き壊してやろうかと思った。
明日会って話そうよ。じゃあ。そう言って通話が終わる。
「もう二度と会えない。話せない」
「もう絶対に、二度と、一生、会えない、話せない」
「自分は何かできなかったのか」
そんな言葉たちがぽかんとした頭の中を回り続けた。
家についてすぐ、ネガを詰め込んでいる段ボール箱をひっくり返してありったけのMが写っているものをかき集めた。
もう何も届かないのに。
受け入れたくなかった。理解ができなかった。
死の数日前、彼女の働いている職場の近くに行ったのに、また今度でいいかと会いに行かなかったこと。人づてに聞いた「Mさん、馬込くんとまた早く遊びたいって言ってるよ」という言葉。一生、一生後悔し続ける。
本当に綺麗な人だった。
そして優しい人だった。
ずっと苦しみの中で生きている様な人だったから、せめて死後安らぎの中にいて欲しい。
死ぬまで忘れない。忘れないでいたい。
これからも写真の中に写し残されたMと再会し続ける。
あなたがいなくなって本当に悔しい。
さみしくて悔しくて仕方ない。