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馬込将充

最近高い頻度で見る夢があって、それがよくわからない。本当によくわからない。


その夢はまず、私がとある町の大通り沿いにあるラーメン屋でテイクアウトを頼むところから始まる。


店員から「食器は返してくださいね」という注意と共にラーメンを乗せたお盆を差し出される。


テイクアウトで頼んだのに、店内で食べる場合と何も変わらない様相のラーメンである。


店を後にし「さてどこで食べようか」などと私は呑気に考え歩く。


ふらりと大通りから脇道に入ると、そこはなだらかな丘陵になっていて、丘を下っていく道中にラーメン系のチェーン店を見つける(日高屋だったり王将だったり天一だったりその時々で変わる)。


何を思ったか私は「チェーン店なら他店のラーメンを持ち込み食べてもそ知らぬ顔でやり過ごせるのでは」と、しれっと入店着席し持ってきたラーメンを食べる。


正直バレやしないかとヒヤヒヤである。凄い緊張感。


焦りつつ何とか完食。これほど楽しめずにラーメンを食すことある?


隣の席に座っていたサラリーマン風のオッサンが会計に立ったタイミングで、オッサンの連れだったかのような雰囲気を出し上手く退店。


「やった!今日もバレなかった!」爽快な達成感である。後ろから聞こえるありがとうございましたの声が心地よい。だが、この夢は毎回ここからが大変なのだ。


丘陵を下って来たのだから帰りは登り坂。それはわかる。わかるのだが。


なんと地上全体で得体の知れない大規模な工事が始まっており、夢の始まりであるラーメン屋へ戻るには20メートル間隔程に建てられた無数のヤグラと、そのヤグラ同士を繋いである見るからに不安定な吊り橋を渡って行く必要があるのだ!


更に困ったことに、吊り橋はヤグラの中腹にくっついているので、橋を渡り切るごとにヤグラの梯子を登って、降りて、また次の吊り橋を渡る仕組みである。


しかも毎回不可解なことに、お盆に乗ったラーメンの器にはいつもスープが残っている。何故か私はそれを捨てないしこぼすことも許されないという意識で運んで行く。


そうして毎回死ぬほど集中し、努力し、泥まみれになりながら店に食器を返しに行く。


やっとの思いで返却すると「本当に返してくれたんですね、別によかったのに」と困ったように優しく微笑む店員。


遠のいて行く意識の中で思う「ここまで頑張った意味よ…」という徒労感。


ここで夢は終わる。


起きた後私に残るのは「一体何を見せられたんだ…」という気持のみである。


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